この度、俺様パイロットとご成婚しました。
結局、お見合いが一件も成立しないまま半年が経ってしまう。
それまで再三にわたって、条件変更をお願いしてきたが、とうとう十回目のカウンセリングの席で彼女は泣き出してしまった。
『結婚もしたことがないあなたに、いったいなにがわかるっていうのよ』
激しく怒るでもなく、静かに涙を流すその表情になんともいえない無力感に苛まれる。
会員を支えるべき婚活アドバイザーが、あんな表情をさせてしまうなんて。
(アドバイザー失格ね……)
結局深山はろくに見合いもできぬまま、三か月後にビリーブマリッジを退会した。
真由子から結婚指輪をつけるように提案されたのは、彼女が退会してから三日後のことだった。
『未婚の若い女性が婚活アドバイザーだと不安に思う会員もいる。これはあなたのためでもあるの。どうかしら?』
そう言って、真由子はデスクの上に結婚指輪を置いた。
(私はどうすればよかったのかな)
彼女が退会して一番悔しい思いをしたのは鈴菜だった。
条件に強いこだわりがあったのも、今度こそ失敗したくないという不安の表れからくるものだった。
もっと気持ちに寄り添ってあげれば、アドバイスを聞き入れてもらえただろうし、成婚退会できたかもしれない。
けれどもし、鈴菜が彼女に寄り添う姿勢を見せたとして、果たして彼女は受け入れてくれただろうか。