この度、俺様パイロットとご成婚しました。
(幸せそう)
成婚退会していく会員を見送るこのセレモニーはいつ見てもいいものだ。
(さてと)
ふたりの姿が見えなくなると、鈴菜はしゃがみ込み、事務所の床に散らばったフェイクフラワーをせっせと片付け始めた。
成婚セレモニーのたびに華々しく宙を舞う花びらたちは、何度も使い回しているせいで少しくたびれている。
けれど、会員がみな成婚セレモニーに憧れを持っているのを知っているからには、そうそう雑に扱えない。
鈴菜は床に散らばったフェイクフラワーをひとつひとつ丁寧に拾い集め、籐のカゴに戻した。
(これでよし)
籠をもと通り倉庫内の棚に置くものの、おそらく数日後には、また出番がやってくるだろう。
自力で結婚相手を見つけるのが難しくなってきた昨今、結婚相談所を頼りにする人は少なくない。
特に若年層の入会者数の増加は著しく、結婚相談所という選択肢が婚活の手段として浸透している証拠だ。
もちろん、入会したからといって、全員が望む結果を得られるわけではない。
見事成婚を果たして悠々と退会する人もいれば、残念ながら退会を余儀なくされる会員もいる。
だからこそ、成婚セレモニーにはそれ自体に大きな価値があると言えるだろう。