この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「ひとつ聞いてもいいですか?」
「ああ」
「なんで契約結婚なんですか?」
彼が結婚にいい印象を抱いていないのはや理解できるが、それなら結婚しなくてもいいはずだ。
契約結婚なんてわざわざ面倒な真似をしてまで、結婚する理由がどこにあるというのだ。
「君はスペードホテルを知っているか?」
「ええ。うちの相談所でも、初めての顔合わせのときにはスペードホテルのティーラウンジを使うようにすすめていますから」
スペードホテルは日本でも老舗のホテルで、一流の接客と素晴らしい客室で有名だ。
ホテルマンのサービスも一級品で、ティーラウンジでは男性が自然に女性をリードできるようにさりげなく手伝ってくれる。
「なら話は早い。スペードホテルの現社長は俺の父親だ」
「え!?」
衝撃の事実を告げられ、鈴菜は慌ててグラスをテーブルに置いた。
「プロフィールには、本人の職業を記載する欄しかなかったからな。驚くのも無理はない」
つまり、航輝はパイロットでもあり、スペードホテルの御曹司でもあったのだ。
そうなると、これまでと話がまるで変ってくる。