この度、俺様パイロットとご成婚しました。
3.結婚への道のり
話があるといって真由子をカフェに呼び出したのは、航輝と契約結婚すると決めた二週間後のこと。
(緊張してきた)
冷房の効いた涼しい室内にもかかわらず、嫌な汗が背中を伝う。
頭がクラクラするのは、決して八月の焦げるような暑さのせいだけではない。
仕事中は別として、親子仲が悪いわけではないが、改まって話をするとなると、いつもと勝手が違う。
それも、自分の結婚の話となるとなおさらだ。
日傘を差した母がやって来たのは、鈴菜がカフェに到着してから十分後のことだ。
「それで話ってなんなの?」
真由子がそう尋ねてきたのは注文したコーヒーとケーキが届いてひと心地ついたときだった。
「実は……結婚しようと思うの」
「結婚?」
結婚を報告すると、真由子は即座に飲みかけのコーヒーをテーブルに置いた。
そして、思い切り眉を顰め、なんとも言えない表情で目の前に座る鈴菜を見つめる。