この度、俺様パイロットとご成婚しました。

 鈴菜を乗せると、航輝はすぐさま運転席に身体を滑り込ませ、一路、彼の母親が暮らす屋敷へ向かう。

 スペードホテルは数年前から海外進出に力を入れており、航輝の父は現在、ニューヨークを拠点にしているので不在だそうだ。

 航輝自身は空港への利便性が高い、湾岸エリアでのマンションでひとり暮らしをしているらしい。

 高級住宅街であるこのエリアを車が進むにつれて、建物が大きくなり、敷地が広くなっていく。

(生まれも育ちも私とは違うのね)

 母親が経営者とはいえ、鈴菜はごく一般的な家庭の出身だ。
 普通に生活していたら絶対に出会うことがなかった男女が出会ってしまうのが、結婚相談所の醍醐味ではあるけれど。

「着いたぞ」
「うわあ」

 車から降りた鈴菜は目の前の光景に圧倒され、思わずゴクンと唾を飲み込んだ。

(本当にここは東京なの?)

 都心の住宅地の中に、突如現れた青々とした木々が現れ公園かなにかと間違えそうになる。
 敷地の周りには柵で囲われていて、あちこちに監視カメラが設置されていたことから、私有地だとうかがえる。
< 49 / 132 >

この作品をシェア

pagetop