この度、俺様パイロットとご成婚しました。
帰りの車の中、鈴菜を家まで送り届ける途中、航輝は気まずそうに詫びた。
「母があんな態度をとってすまなかった。驚いただろう。頭が堅い人で」
「まあ、たしかに驚きました」
今どき珍しいぐらい厳格な人柄な上に、自分の通ってきた道が正しいと思っている。
「母は旧華族の家柄で、生粋のお嬢様育ちの上に世間知らずなんだ。融通が利かない部分もあるが、悪い人じゃない」
意外にも、航輝はあの母親に対して悪感情は抱いてないようだ。
「上流階級の人間には、人を陥れようと平気で嘘をついたり、裏で汚いことをしたりする人間もいるだろう?その点、うちの母親はお世辞にも嘘が得意ではないタイプだ。ある意味一番信用できる」
頭と口が直結しているタイプは、周りと衝突しがちだが、裏でこそこそされるよりも面と向かって文句を言われる方がまだマシだ。
「それに、少し君に似ているんだ」
「私と?」
「ああ。きっと気が合うと思う」
航輝はそう言ってニヤリと笑ったが、鈴菜は腑に落ちなかった。
(あのお母さまとどこが似てるっていうのよ?)
鈴菜は不満げな表情を悟らせないよう、窓の外を眺め続けた。