この度、俺様パイロットとご成婚しました。
◇
「次は指輪だな」
晴れて結婚の挨拶を終えた二人の前に立ちふがる次なるイベントは、結婚指輪の購入だ。
挨拶とは別の日、鈴菜は航輝とふたりでジュエリーショップへと出かけた。
案内されたジュエリーショップはハイブランドが立ち並ぶ商業エリアのなかで、ひときわ大きな店構えをしていた。
パリやミラノのコレクションにも参加している有名なブランドで、鈴菜も名前だけは知っている。
個室に案内され、ベロアの張られたソファに座っていると店員が指輪を載せたトレーを持ってくる。
「ああ、これなんかいいんじゃないか?」
花びらをモチーフにしたフレームの中央には、見たことがないほど大きいラウンドブリリアンカットのダイヤモンドが堂々と鎮座している。
「鈴菜は指が長いから、派手なデザインも似合うな」
「そ、そうですか……?」
こんなに大きなダイヤモンドが存在するなんて、信じられない。
鈴菜は店員と航輝にすすめられるがままに婚約指輪と結婚指輪を選んだ。
婚約指輪は一点ものとなるため時間がかかるそうだが、結婚指輪はすぐに持ち帰ることができた。
もちろん、支払いは彼が行った。
(いいのかな?)
家柄を考えれば安物を身に着けるわけにはいかないとわかっていても、身に余るものを購入してしまった罪悪感で胸がいっぱいだ。
「形だけの結婚なのに、あんなに立派なものを買う必要はあったんですか?」
「それなりのものを用意しておかないと、すぐに嘘だって見破られそうだろう?」
航輝は大きな買い物を済ませたあととは思えぬほど、こともなげに言った。