この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「買い物も終わったし、ドライブでもしないか?俺が通っているカフェがあるんだ」
「いいですよ」
助手席に身体を滑り込ませると、まもなく車が発進する。
車は指輪を見た商業エリアからだんだんと遠ざかっていき、視界が開けた見晴らしのいい海沿いを走り始める。
「うわあ」
「天気もいいし、窓を開けるか」
窓を少しだけ開けると、気持ちのいい風が車内を吹き抜けていった。
橋の上を走っている途中、飛行機が飛んでいくのも見えた。
「視界良好。今日のフライトはさぞ気分がいいだろうな」
フロントガラス越しに飛行機を確認した航輝は楽しそうにつぶやいた。
「ここだ」
移動し始めてから一時間。ようやく到着したのは海岸沿いにあるこぢんまりとした素朴なカフェだった。
ドアを開けるとカランとカウベルが鳴り、お揃いのエプロンを着けた三十代の夫婦が出迎えてくれた。
鈴菜と航輝はさっそく波の音と潮風が心地よいテラス席に案内された。
「いい眺めだろう?」
「そうですね」
鈴菜は素直にそう答えると、風になびく髪を押さえながら、椅子に座った。
航輝のことだから、てっきりとんでもなく高いコーヒーやフードのある高級店に連れていかれるかと思っていた。
夫婦経営の素朴なカフェが行きつけなんて、意外だ。