この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「大事なこと?」
「飛行機がどうやって飛ぶか知っているか?」
もったいぶるように尋ねられ、鈴菜はすっかり困ってしまった。
飛行機の原理を専門的な知識のない素人が説明できるはずがない。
「ジェットエンジンで加速して飛ぶんじゃないんですか?」
飛行機の機体を頭に思い浮かべながら苦心して答えをひねり出すと、航輝はしてやったりとばかりにニヤリと笑った。
「半分正解だ。間違っていないが、ただパイロットと機体を用意しても飛行機は飛ばない」
あたりまえの話だが盲点を突かれた。どうやら理屈の話をしたかったわけではなさそうだ。
「飛行機はひとりじゃ飛ばせない。ひとりひとりのチームワークで成り立っている。俺は機体の舵取りを任されているだけで、機体の牽引や燃料の補充、乗客の案内は仲間にやってもらう必要がある。普通の企業で働いていたら、もっと実感が薄かっただろうな」
恵まれた環境で育った航輝にとっては、違う環境に身を置くことが刺激になったのだろう。
「いつかはパイロットを辞めて会社を継がなきゃいけない。でも、まだパイロットを続けたいんだ。この仕事が好きだから。まあ、母は早く会社を継いでほしいみたいだけどな」
先日の結婚挨拶の様子を思い出したのか、航輝は大きなため息をついた。