この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「お母さまは航輝さんがパイロットでいることに反対なんですか?」
「ああ。しつこく結婚を勧めてきたのも、パイロットを辞めさせるためだろう。次期社長夫人になるつもりで結婚したのに、会社を継がないままというわけにはいかないからな」
「そうだったんですね」
お相手の女性の家柄に格があればあるほど、航輝にはプレッシャーがかかったはずだ。
そういった点でも、一般市民の鈴菜はうってつけの存在だったわけである。
結婚は足枷だという彼の発言にも納得できた。
(まあ、結婚したくらいで航輝さんが意思を曲げるとは思わないけど)
自由のために契約結婚を持ち出すぐらいだ。
彼にとってパイロットを辞めることは、翼を無理やりもがれたも同然なのだ。
「航輝さんはパイロットという職業が本当に好きなんですね」
「ああ、誇りに思っている」
「そんなに好きなら会社を継がずに続けたらいいのに」
純粋にそう思っただけで、他意はなかったが、
「鈴菜はやっぱり他の女性とは違うな」
航輝はクックっと押し殺したように笑った。
ようやく笑いがおさまると、今度は打って変わって真剣な表情になる。