この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「鈴菜は?」
「え?」
「どうして婚活アドバイザーになったんだ?俺の話もしたんだから、聞かせてくれよ」
自分の話が終わったら、今度は鈴菜の番だと主導権を返される。
「最初は母に憧れたっていうのもありますけど……」
鈴菜は飲みかけのカフェオレをテーブルに置くと、静かに自分の思いを語り始めた。
「今って、結婚しなくても充分人生が楽しめる時代だと思いませんか?」
最新のゲーム、アミューズメントパーク、かわいいアイドルに、人気のキャラクター。
人を楽しませる娯楽は、次から次へと生み出されては、惜しみなく提供されていく。
「結婚しなくてもいい時代なのに、結婚への憧れはいまだになくなりません。会員の皆さんは結婚するために自分自身を見つめ直したり、これから先の未来を想像したり、努力を惜しみません」
多くの選択肢がある中で、なぜか人は結婚する道を選ぶ。
それは、結婚が「誰かに必要とされたい」という人間の根源的な欲求を満たすものだからだろう。
他のものでは埋められないなにかを、皆結婚に求めているのだ。
ひとりでも生きていける今だからこそ、ふたりで生きたいと思える相手と巡り会えること自体が、幸せなのかもしれない。