この度、俺様パイロットとご成婚しました。
3.5.彼女を選んだ理由
「結婚!?」
結婚すると伝えると同期の黒崎は飲んでいたコーヒーを危うく制服にこぼしそうになった。
パイロットの顔ともいえる制服の白シャツにコーヒーの染みがついたままでは、目立ってしかたない。
航輝が見かねてハンカチを取り出すと、黒崎はハンカチを奪い取るようにして、慌てて口もとを拭いた。
ブルーセントラルジェット航空、通称BCJのクルーセンターには、パイロットの他にも大勢の社員がいる。
フライトの離陸時間の二時間前にショーアップし、アルコール検査と着替えを終えた航輝は、離陸前に運行管理者と機長とのこの日の機体の状態とチャートを共有するためのブリーフィングが終わり、一息ついていた。
そんなとき、たまたまブリーフィング終わりの黒崎と遭遇したのだ。
近況を報告し合う中で、結婚について伝えた途端に黒崎が咳き込んだのだ。
「一回確認しとくけど、お前が結婚するんだよな!?」
「当たり前だろう?ほら、指輪もつけている」
なぜ、わざわざ他人の結婚話を切り出す必要があるのか甚だ疑問に思いながら左手を見せてやる。
薬指に嵌められた結婚指輪を見るなり、黒崎は驚きのあまり口をあんぐりと開けた。