この度、俺様パイロットとご成婚しました。
(たしかに任せきりにしたのは私だけど……!)
ニューヨークへ出発する当日、午後五時。
搭乗開始が数分後に迫り、鈴菜は緊張の面持ちで搭乗ゲートの前のソファに座っていた。
スマホに映し出された電子チケットを眺めては、そわそわと落ち着かなくなり今にも叫びだしたい気持ちを必死に押さえつける。
(まさか、ファーストクラスのシートだなんて!)
空港に到着しチェックインを済ませた鈴菜は、航空券の詳細を確認した瞬間腰を抜かすかと思った。
航輝が予約していたのは飛行機の中でも、十席ほどしかないファーストクラスのシートだったのだ。
もちろん、ファーストクラスのシートに座るなんて生まれて初めてだ。
(ちょっと楽しみ)
今日を逃したらきっと二度とこんな機会には恵まれないだろうし、せっかくなら満喫しよう。
決意を新たにした鈴菜はふうっと息を吐くと、今度はとなりのソファに座る航輝の母——睦美にチラリと視線を向けた。
「あの……お母さま……」
「なにか用かしら?」
まるで話しかけるなと言わんばかりのつっけんどんとした態度に怯みかけるが、かまわずそのまま続ける。