この度、俺様パイロットとご成婚しました。

(うわあ!すごーい!)

 指定された座席を見るなり、鈴菜は目を輝かせた。

 卒業旅行のときに利用した格安航空会社の、一律横並びの座席と比べて雲泥の差がある。

 占有できる空間は広々としており、エコノミークラスが一列九席に対し、ファーストクラスはたったの三席。

 どの座席も壁で覆われており、プライベート空間が確保されている。

 壁の内側には高級感のあるブラックレザーのシートや使いやすそうな大型の機内モニターが設置されている。

 足もとも広々していて、手持ちのバッグも楽々しまえた。

 寝るときはパジャマを提供してもらえる上に、CAにベッドメイキングまでしてもらえるそうだ。

 BCJでも昨年採用されたばかりの新機体らしく、最新の技術の粋を集めた誂えに、鈴菜はひたすら感激していた。

(贅沢だなあ)

 飛行機という限られた空間でありながら、気持ちよく過ごせるなんて夢のようだ。

 鈴菜が嬉々として広いシートに身体を預けているとアナウンスが始まる。

『本日は、ブルーセントラルジェット航空をご利用いただきありがとうございます。本日のフライトは機長内山、宇佐美、副操縦士、来栖が担当させていただきます。快適な空の旅になりますように、心がけてまいります。どうぞよろしくお願いいたします』

 アナウンスの声の主はもちろん航輝だ。

 となりの窓際の席には睦美が座っているため少し気まずいが、素晴らしいシートと、操縦技術に絶対の自信を持つパイロットのおかげで快適な空の旅は約束されたも同然だった。
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