この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「『アドバイスを実践しなくて怒られた』『いつも高圧的だ』。一件だけではないわ。アドバイザーの変更を希望されている方もいるわ」
「そ、それはっ……!」
とっさに言い返そうとするが、途中で思い直しぎゅっと口を引き結ぶ。
うまくいってほしいと願うあまり、アドバイスについつい熱が入るのはよくあることだ。
歯に衣着せぬ口調が会員たちを不用意に怯えさせ、怖いという評価に繋がってしまったのは自分の責任に他ならない。
「あなたなりのやり方があるのもわかるけれど、大事なのは会員の皆さんとキチンとコミュニケーションをとることなんじゃないの?」
真由子の指摘はもっともだった。どんなに熱意を込めても聞き入れてもらえなければ意味がない。
「申し訳ありませんでした。以後気をつけます」
鈴菜は今度こそ反論せず、殊勝な態度で頭を下げた。
反省したとわかると、真由子はそれ以上追及しなかった。
「わかったら仕事に戻りなさい」
「はい」
鈴菜はもう一度会釈をしてから、真由子に背を向けた。
(さすがにちょっと落ち込むな)
会員とアドバイザーにも相性がある。
ソフトな物腰が好ましいと感じる人もいれば、少し強めの口調の方がやる気が出る人もいる。
万人に通じるやり方はないと頭ではわかっていても、別の人がいいと真っ向から言われてしまうと立つ瀬がない。
鈴菜がふうっと息を吐きながら、ドアノブに手をかけたそのときだ。