この度、俺様パイロットとご成婚しました。

(お母さまのこと、言いそびれちゃったな……)

 握手のタイミングが悪く、誤解を解く機会を逸してしまったが仕方ない。

 気を取り直して客室に目を向ける。外観同様、客室の中も素晴らしかった。

 掃除の行き届いた清潔な室内には、モダンなテーブルセット、ブラックにゴールドをあしらったベッドが備え付けられており、ひとりで泊まるにはもったいないほどの広さだった。

「うわあ!綺麗!」

 鈴菜は窓から見える景色にたちまち魅了された。
 時刻は夜の九時。眼下にはキラキラと輝くマンハッタンの摩天楼が見渡す限りどこまでも続いている。

「あれ……?」

 すっかり夜景に気を取れていたが、窓際のテーブルの上にリボンがかけられたオレンジ色の大きな箱が三つ置いてある。

 箱の上に添えられていたカードを開くと、そこには航輝からのメッセージが記されていた。

【明日のパーティーではこのドレスを着てくれ】

 箱にはそれぞれ、煌びやかなイブニングドレスとクラッチバッグ、それにリボンがあしらわれたラウンドトゥのパンプスが一足入っていた。

「航輝さんって本当にサプライズが好きなのね」

 またしてもなにも聞かされていなかった鈴菜は呆れたように呟いた。

 憎まれ口を叩いていても、ドレスまで用意してもらえて本心ではうれしくてたまらない。

 鈴菜は鼻歌を交じりでイブニングドレスをハンガーにかけた。

 なにはともあれ、チャリティーパーティーは明日だ。
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