この度、俺様パイロットとご成婚しました。
5.恋心の芽生え
身支度を終え準備万端で待ち構えていた鈴菜はコンコンとノックの音が聞こえると、すぐさま扉を開けて彼を招き入れた。
「おはよう、鈴菜」
「おはようございます。航輝さん」
鈴菜がイブニングドレスを着ているのと同様に航輝はタキシードを着ていた。
背が高く足もすらっと長い彼が、ブラックフォーマルを着ているだけで男ぶりが一段あがる。体格で勝る外国人と比べても、引けを取らない。
「昨日はお仕事、お疲れさまでした」
「機内はどうだった?」
「ファーストクラスなんてびっくりしました!言っておいてくれればよかったのに……」
「鈴菜を驚かせようと思ったんだが、大成功だったようだな」
「おかげさまで快適な空の旅を過ごせました。ありがとうございます」
航輝は一足先に別の便で帰国するので、帰りは別々になる。
この滞在中、唯一心の残りがあるとすれば彼の制服姿が見られないことだけだ。
「お礼を言うのはこちらの方だ。CAから話を聞いたよ。母さんの世話を色々と焼いてくれたんだろう?大変だっただろう?」
「放っておけなかっただけで、大したことはしていませんよ?」
「まさか母さんがそこまで飛行機が苦手だとは俺も知らなかったんだ。鈴菜がいてくれて助かったよ。ありがとう」
それでも航輝は鈴菜の頭を優しくポンポンと叩き労ってくれた。