この度、俺様パイロットとご成婚しました。

 パーティーが終盤に差し掛かると、照明が落とされクラシック楽団による生演奏が始まる。
 招待客の誰もが椅子から立ち上がり、ダンスフロアへ歩いていく。

「鈴菜」

 航輝も例にもれず、立ち上がり鈴菜に向かって手を差し出してくる。

「私、ダンスなんて踊れません!」
「いいから」

 周りの迷惑にならないように小声で訴えるものの、航輝は意に介さず強引に鈴菜を立ち上がらせた。

「大丈夫だ。ダンスといっても堅苦しくない。ただ、リズムに合わせて動くだけだ」

 アメリカではパーティーでダンスを踊るのが定番らしいが、日本人の鈴菜には初めての体験だ。
 リズムに合わせて動くだけと言われても、それが一番難しい。

「不安だったら、俺に身を委ねていればいい」
「わ、わかりました」

 どうやってもダンスを避けられないらしい。

 鈴菜は覚悟を決めると、航輝と正面から向かい合い右手を絡めるとおっかなびっくり背中に手を回した。

 ピアノとサックスがゆったりとしたメロディーラインを奏で始め、戸惑いながら最初のステップを踏んだそのとき。
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