この度、俺様パイロットとご成婚しました。

「あっ!」

 突然ぐいと腰が引き寄せられ、互いの身体の形がはっきりとわかるくらい密着させられる。

「こ、こんなにくっつかなくても……!」
「新婚の夫婦なんだ。なにが悪い?それに……」
「それに?」

 航輝は思わせぶりに鈴菜の耳に唇を寄せ、そっと囁く。

「気づいていないのか?ほかの男が全員鈴菜を眺めている。特にこの背中のラインを」

 ツーと背中を指でなぞられて、ビクンと身体が反応してしまう。

 照明が暗くなっていて本当によかった。きっと鈴菜の顔は真っ赤になっているに違いない。

「よ、酔っているんですか!?」
「ステイ中は酒を控えているってさっき説明したばかりだろう?」

 つまり酔ったうえでの冗談ではなく、至極真面目に言っているらしい。

「失敗したな。誰にも見せないように隠しておくべきだった」

 航輝は真面目な顔でそう言うと、子供のように拗ねながらダンスを続けた。

 大勢の人に見せびらかしたい気持ちと、自分だけの秘密にしておきたかったという気持ちがせめぎあった結果らしい。

(航輝さんでもヤキモチを焼くんだ)

 航輝のようになんでも持ち合わせている男性でも、たったひとりの女性の服装に一喜一憂することもある。

(かわいらしい部分もあるのね)

 一度慣れてしまうと、リズムに合わせて左右に揺れているだけなのに、なぜか心地よくなってくる。

 鈴菜は気がつくと自分から彼の胸に頭を預けていた。
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