灰色の日々に、君が灯した甘い色
あの日から一週間が経った。

コーヒーショップには寄っていない。
ランチ仲間の同僚が出張中で、社内でお昼を済ますようになった。

事務所の奥に掛けられた時計を見ると、十八時を指している。
デスクの上にカバンを置いて、いそいそと帰る準備を進めた。


最近は、コーヒーを飲みたいと思わなくなった。

(コーヒーを飲みすぎると、眠れなくなるっていうからね)
(睡眠不足は仕事の効率を著しく下げるっていうデータもあるし)
(それに、不安感も増すってどこかで聞いたな。うんうん)


午後になると、胸が騒がしくなってくる。
少しでも気が抜けると、彼の笑顔が浮かんでくるから慌てて首を振る。


前の席に座っている上司が、心配そうな顔でこちらを見ていた。

「なんか……顔色悪いけど、大丈夫?」

私は胸を押さえて真剣に返した。

「ちょっと動悸がするんです。更年期がきたかもしれませんね」

「……はああ?」
「その歳で更年期を語るだなんて。私に喧嘩売ってる!?」

心底呆れたように私を睨んだ。

「ひっ、すみませんっ!! お先に失礼します!」

水曜日はノー残業デーなのに、すっかり社内では形だけになっていて、そのことを今朝の全体メールで注意されたばかりだった。

定時になったので、模範的な社員を装いながら会社を飛び出た。
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