灰色の日々に、君が灯した甘い色
やがて、車の音が途切れ、一斉に足音が響き出す。

(あ……周りの動きで、判断してるとか?)

なんとなく、さっきの女の人の方へ視線を戻した、その時だった。

バサッ、と羽音がした。

「わっ」

名前も知らない、白っぽい鳥が目の前を横切った。

一瞬、白い羽根に視界を遮られる。
舞い散る羽根の奥、不意にひらけた視界に、僕は思わず息を呑んだ。


その向こうに――
さっきの女の人の笑顔が見えた。

明るい笑みを浮かべて、一人のおばあさんと向き合っている。

頬を淡いピンク色に染めて、細い腕を一生懸命に動かしながら何かを伝えていた。

どうやら、道案内をしているらしい。


その姿は、さっきとは見違えるほど生き生きとしていた。

忙しなく行き交う人波の中で、彼女の周りだけが、まるで時間が止まったかのように澄んで見えた。


おばあさんは深々と頭を下げて歩き出すと、彼女はその背中をやさしい眼差しで見送った。

やがて信号が点滅し始める。
彼女は我に返ったように、人波の向こうへ駆け去っていった。
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