せっかち姫とじっくり武人
(気持ちいい、こと……ランナル様……)

 ランナルに閨事を教わり始めてから、そろそろ二カ月が経つ。
 ランナルとのキス、彼の唇や手のひらで全身を愛撫される感覚、そしてイく瞬間の法悦。それらを思い出しながら、イルヴァは自らの手で秘部を下着越しにこすった。大好きな夫に、いやらしくさわられているのだと想像しながら。



 ――その後も、ランナルの毎夜の指導は続いた。互いに下着を脱いで裸になった日は、ついに本番行為に及ぶのかと思った。しかしランナルは、それでもまだ挿入は行わなかった。仰向けにさせたイルヴァの女の園に顔をうずめ、ぺろぺろと肉豆を舐め上げたのだ。

「えっ、ランナル様っ、何をっ!?」
「オーラルセックスです。口を使って性器を刺激します」
「い、いやっ……そんなっ、だめですっ……」

 イルヴァは顔を真っ赤にして、ランナルの動きを止めようとした。しかし、彼の頭に伸ばした手の力では、ランナルをどかすことができない。それどころか、生温かい彼の舌で恥ずかしい場所を丁寧に舐められるたびに、腰がとけそうな気持ちよさを覚えた。

「はっ、ぁっ……あっ、だめぇっ……」

 初めての口戯の快感に、イルヴァは意識が飛びそうなほどの羞恥心を覚えた。しかし同時に、果てしない気持ちよさも感じた。下着越しにコリコリとこすられるのもよかったが、ぬるっとした温かな舌とたっぷりの唾液で敏感な突起を(ねぶ)られると、切ないほどに腰が揺れ動く。そうしてイルヴァは、ランナルのお口にたっぷりといじめられて高みへ昇った。

 それからイルヴァは、フェラチオという行為も教わった。自分がランナルの唇と舌で愛撫されたように、彼の性器に唇と舌で奉仕することだ。
 その行為はたいそう殿方の肉棒を喜ばせるらしいが、最初は怖いと思ってしまった。しかし、イルヴァのつたない舌がゆっくりとランナルの分身に這うと、ランナルが聞いたことのない艶めいた声を出したので、その瞬間にイルヴァの中から恐怖心は消えた。代わりに、もっと彼を気持ちよくさせて、自分と同じように切ない声を出してほしいと思った。

「イルヴァ……とても気持ちがいい……イきそうです」

 そうしてついに、ランナルはイルヴァの目の前で射精した。イルヴァを最大限に気遣ったランナルは、フェラチオをしてくれていたイルヴァの口の中から瞬時に己を引き抜き、イルヴァには決して精液をかけないように、自らの手のひらで竿を覆って果てた。

「はぁ……これが子種です」

 ランナルは自分の手のひらに吐き出された白い精液をイルヴァに見せつけた。

「ちょっと白くて……とろみがありますね」
「そうですね。これをあなたの膣内に注ぐと、いつか子供ができます。イルヴァは、子供は何人欲しいですか」
「えっ、えっと……そうですね、男女一人ずつは必ず欲しいです。ランナル様に許していただけるなら、三人でも四人でも……」
「わかりました。家族を養えるようにこれからも働きますし、子作りにも励みます。そのためにもイルヴァ、あなたの体をもっと淫靡にしたい。さあ、四つん這いになってください。次はあなたをイかせてあげます」

 ランナルに命じられると、イルヴァは獣のような四つん這いの姿勢になってランナルに尻を向けた。ランナルが視界に入らないので何をされるのか予測できず、少々不安ではあったが、彼の両手で尻肉を掴まれてやさしく左右に広げられると、その不安はすぐさま期待感に変わった。

「ああ、イルヴァ……俺のペニスを舐め回して、あなたも感じてくれたんですね。いやらしい愛液がとろとろと流れ出ていますよ。指を膣内(ナカ)に入れて、はしたないこの汁をかき出してあげましょう」
「やっ……あっ、あぁんっ……」

 ランナルの長くて角ばった指が、熱を帯び始めているイルヴァの膣口へとめり込んでいく。そうして隘路を浸食されるのは初めてではなかったが、自分の体ではない異物が体内に入り込んでくるその感覚にまだ慣れず、イルヴァの下肢には力が入った。

「大丈夫ですよ、イルヴァ。ゆっくりと息を吐いて、体の力を抜いてください。痛いことは何もしません。かわいい蕾も舐めてあげますから、何も考えずに気持ちよくなってください。かわいい俺の妻……どうか、俺のことを拒絶しないで。すべて受け入れてください」

 ランナルの紳士的な声は、まるでイルヴァを洗脳するように夜の静けさにとけた。
 イルヴァはランナルに言われたとおり、ゆっくりと息を吐く。そして、彼の指が女園の中を何度も行ったり来たりして内壁をこする感触と、蛇のようにチロチロと動き続ける舌によって快感を与えられる赤貝の悦びを、懸命にこらえた――。



(ランナル様……)

 イルヴァは下着に伸ばしていた手をのけてスカートの裾を正すと、完全に意識を手放した。これまでのランナルとの睦事を思い起こして自慰行為をしてしまっていたが、眠気が限界だった。
 それに、欲しいのはただの快楽ではない。ランナルに愛されていると心から思えるような、彼の優しい手と声が与えてくれる快感なのだ。それは、自分一人でふける行為では絶対に手に入らない。

「すー……すー……」

 イルヴァの健やかな寝息が、午後のゆったりとした空気の中へ静かに消えていく。
 月の障りの期間やランナルが多忙なタイミングを除いて毎夜続けられている、ランナルからの性教育。それは当然夜に行われるので、必然的に夜の睡眠時間が短くなっている。イルヴァが日中に眠気を覚えてこうして昼寝をしてしまうのも、無理はなかった。


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