Fahrenheit Ⅳ

負のループへようこそ。


♠ K ♠


ピンポーン、ピンポン、ピンポン!!


俺は裕二のマンションのエントランスで裕二の部屋の号数を連打していた。


『うっせぇ!何だよ!仕事終わりに!』


「裕二ぃいいー」俺は泣き真似をしてモニターに向かった。


『今度は何?』と若干うんざりした様子の裕二がため息を吐く。


「とりあえず家に入れて?そこで話す」


『はぁ?今綾子が来てんだよ。また別の日にして』と返事がかえってきたが


「どうしても聞いて欲しい話があるんだよー」と俺が首を折り項垂れると


『啓人がこんなに落ち込んでるのよ。何かあったに違いないわ。入れてあげたら?』といつになく優しい綾子。


綾子ぉおおおお!!


というわけで俺は無事に(?)裕二の部屋に入ることができたが。


二人は仕事帰りの一杯と言うことでビールの缶がリビングのテーブルに置いてあり、一時停止したままの流行りのドラマが画面を停止させたまま止まっていた。


「ごめん、二人の時間を邪魔して」


「ああ、大いに邪魔だね。せっかく久しぶりに二人っきりだったのに」と裕二は鼻息も荒く腕を組む。


「まぁまぁ、啓人がここまで落ち込んでるんだもの。話だけでも聞いてあげましょうよ」といつになく優しい綾子。


綾子が急に女神に見えてきた。


俺はリビングのソファに座るように案内され、ついでに綾子はビールを準備してくれたが、車で帰るつもりだったしそれは断った。


代わりに出されたコーヒーを飲みながら俺はかくかくしかじか瑠華に避けられていることを語った。


二人は頷いたり、時折意見を言ったり。


「それに今日、普段車で出勤しない瑠華が車で出勤してきて、しかも車の鏡で口紅を塗ってたんだ。これからぜってぇオトコに会う筈!」


裕二は目をまばたき


「誰か女友達と会う約束とかじゃ?ほら、言うじゃん。女ってオトコと会うより女友達と会う時の方に気合入れるって。オトコと決めつけんなよ」と言って


「裕二ぃい~」俺は思わず裕二に抱き着きたくなった。


「いや、それは完全に男ね」と綾子が顎に手を置いてしみじみ。


綾子!

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