Fahrenheit Ⅳ

程なくして紫利さんは来てくれた。今日は私服姿。黒いニットは全体的にタイトだが襟元だけ緩いタートルネックにスキニージーンズ。


「急いできたからあまりオシャレできなくて」と紫利さんは笑ったが、首に掛かった大き目のゴールドのネックレスやそれと同じデザインのピアスは凄く似合っている。


「Mom, who is that pretty lady?(ママ、このきれいなお姉さん誰?)」と紫利さんの登場でユーリが少しあたしの後ろに隠れるようにスカートの裾を握ってきた。


「This lady is a friend of Mom's.(このお姉さんはママのお友達よ?)」とユーリに説明すると


「Mom?」と紫利さんが目を開いた。


そうだった……紫利さんは世界中を旅行してて英語も喋れる。


「あ、とりあえずリビングへ。説明します」と言い、戸惑ったままの紫利さんを何とかリビングに案内し


「実は、あの子、私の娘でして」と説明すると


「娘!!!!」と紫利さんは声を上げて口元を覆った。


無理もない。あたしが結婚してたこと、娘を産んだこと、紫利さんには言ってなかったから。


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