Fahrenheit Ⅳ


「羨ましいわ。うちは子供に恵まれなくて」


あ………


あたしったら無神経なことしてしまった、と今更後悔。


「無神経なことしたって考えてたでしょ?大丈夫よ?私子供って大好きなの。子育て疑似体験ができて嬉しいわ。ちょうどモエハも休暇から戻ってきて店にも行かなくなったし暇してたし」と紫利さんは微笑む。


モエハ―――?って誰?そう言えば誰かが抜けた分、一時的に店に戻ると言ってた気がするけど……その人が戻ってきたってことよね。


紫利さんの言葉が嬉しかった。


紫利さんに頼んでやはりよかった。


程なくしてふわふわのパンケーキができた。お皿に乗せてバターと蜂蜜を垂らしてリビングに運んでいくと、ユーリは顔を輝かせて


「Looks good!(おいしそう!)」とソファの上でぴょんぴょん跳ねた。


「Hey, if you keep misbehaving like that, Yukari-nee will laugh at you.
(こら、あんまりお行儀悪いと紫利お姉さんに笑われちゃうわよ)」と口で注意をすると「Yeah.(はーい)」とユーリは大人しく座り、あたしがナイフとフォークで切り分けてあげると、途中でユーリはフォークを欲しがった。


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