Fahrenheit Ⅳ


何でも自分でできる、と主張したいのかしら。


その顔はもう『立派なレディなんだから』と語っていた気がする。


いつの間に―――こんな風に成長したのかしら。離れていた時間は一年とちょっと。そのときはあたしが何でもやってあげていたし、子供とはそう言うものだと思っていた。でもユーリはいつの間にかあたしの手から離れて自分で何もかもしようとする。


嬉しい成長だが、その成長を見守れなかったのは少し残念で悲しい。


「ついでだから夜ご飯も作っていくわね。サンドイッチとかでもいいかしら」と紫利さんが言い出し、キッチンに向かう。


「え?いいんですか?」それは流石に申し訳ない気がしたけれど


「だってあんなに美味しそうに食べてくれたら作り甲斐があるわ」紫利さんは笑った。


確かにユーリはふわふわのパンケーキを一口口に運ぶ度に「Delicious!(おいしー!)」と破顔。そしてあたしの耳に口を寄せると「Much tastier than the housekeeper's pancakes.(お手伝いさんのパンケーキよりずっとおいしい)」と内緒話。


ふふっ


この子ったら。


紫利さんは買ってきた材料からポテトサラダ……と言うよりもそれはマッシュポテトに近いジャガイモ料理に、カリカリに焼いたベーコンとレタス、ゆで卵と、スライストマトでBLTサンドも作ってくれた。そのほかは昨日作り立てだというローストビーフを家から持ってきてくれて、それもサンドイッチに仕立ててくれた。


まるでSNSから飛び出てきたようなきれいなサンドイッチの種類に思わず写真を撮りたくなって、あたしはそのサンドイッチを手にユーリと写真を撮ってもらった。


想い出がまた一つ、増えた。

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