Fahrenheit Ⅳ

上を向いて歩こう。



♠ K ♠


クリスマスを過ぎ、あれからダンスの猛特訓したからな、それらしく見えるようになったのは幸いだ。


朝から夕方まで仕事、それが終わるとダンスの練習。


体はくたくたにくたびれていたが、瑠華と一緒に居るだけで心が満たされる。


ただ、カウントダウンのことを申し出ると断られたのがショックだったが、まぁ当たり前だよな。俺たち今別れてる状態だし。


変に二村に見つかっても厄介だ。


緑川と距離を置いているからこそ、こちらが下手な動きを取れないって言うのが本音だな。


カードは一枚、一枚揃いつつあるのにまだ足りない。何故だろう、一枚手に入れてもまた一枚すり抜けていくこの気持ち悪い感じ。


決定的にあいつを追い詰めるカードがまだ足りない現状に焦っているだけだろうか。


それは瑠華も分かっているのだろう。だから必要以上に俺に接近してこようとしてこない。


それが寂しくもあり、悲しい。


ほぼ強引に瑠華をダンスの練習に誘ったが、『連絡します』と言ったが果たしてどうなのか……


でも入社してすぐの新年会に瑠華も失敗したくない筈。練習に応じてくれるのを願っている。


―――それにしても暇だ。


大掃除は終わらせたし、年末になると大したテレビ番組もやっていない。大して身の無いグルメ番組を見ながら今頃瑠華は何をしてるんだろう、と彼女のことばかり考える俺。


そのときだった。


ピンポーン


インターホンが鳴ってモニターを覗き込むと


瑞野さんが立っていた。


んげぇ!


何で!


俺は慌ててベランダに出ると近くに二村がいないか確認したがそれらしい人影は見当たらなかった。


どうする?居留守を使うか??


なんて考えてるとまたも『ピンポーン』とエントランスインターホンが鳴り、それでも少しの間様子を見ようとインターホンには出なかったが瑞野さんは立ち去る様子はない。


仕方なしに


「はい」と出る羽目に……


『突然ごめんなさい、あの…こないだのこと謝りたくて』と瑞野さんは一つの、色がきれいで変わったデザインの紙袋を掲げて申し訳なさそうな顔を作っている。


演技―――じゃないよな。


以前、ことごとく騙されたからな、それ以来俺は瑞野さんに苦手意識があるようだ。


「こないだのこと?」―――が何なのか本当に一瞬分からなかった。思い当たるフシがあり過ぎる。


『ホテルでの、二村くんのファックスの件で……』


ああ。


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