Fahrenheit Ⅳ
裕二との通話はすぐに終わった。
カウントダウンまで残り五分となった。テレビチャンネルを変えてカウントダウンを行いそうな番組に変えて、俺はふと携帯に手を伸ばしていた。
無意識のうちに瑠華のメモリを探していた。
またも無意識のうちに掛けようとして、しかし俺の指は彼女のメモリをタップすることがなかなかできない。
俺の番号だと取ってくれないかもしれない。
卑怯な俺はまたも非通知で掛けることにした。
これは―――賭けだ。
瑠華が出てくれたのなら、一緒にカウントダウンしよう。
例えマックスとユーリを居ようと、その声だけでも聞きたい。
非通知番号で電話を掛けると
3コール程で
『はい』と機械的な声が聞こえてきた。てかちょっと不機嫌?
今度ばかりは無言は嫌だった。
「瑠華―――?良かった、出てくれて」
『啓―――?』瑠華が少し驚いたような声を上げた。
「うん、ごめんね。俺のメモリで電話すると出てくれないかも、って勇気がでなくて」
項垂れると、
『出ますよ、普通に』とまたも機械的な声が聞こえてきた。
「そう…なの?」
だったら回りくどいことしなくて普通に電話すればよかった。俺の勇気が足らないばかりに。
『それよりどうしたのですか、こんな夜更けに』
「いや……今、誰かと―――、一緒?」
『いいえ、マンションで一人ですが』との言葉に俺は目を開いた。
マックスとユーリと一緒じゃなかったんだ……
まぁあの二人が何日滞在するか分からなかったけれどマックスのしつこさからすると絶対カウントダウンも一緒に、と言いユーリを餌にカウントダウンをしようとしようとしていただろうが。
「きょ……今日は何をしてたの?」
カウントダウンしよう、て言いたいのになかなか言い出せなかった。どこまでも臆病な俺。何気ない会話で時間を繋いで、流れでカウントダウンに持ち込む、うん!その作戦だ!
『今日ですか?今日は紫利さんと銀座でお買い物を。その後紫利さんのご主人も一緒に銀座のかも鶴でお食事を』
え!?
紫利さんの旦那も一緒に!?
濃い一日だな!