Fahrenheit Ⅳ

啓とカウントダウンできると思ってなかったから本当に嬉しかった。


そのテンションで明日(元旦)一緒に過ごさないかとダメ元で誘うと二つ返事でOKの返事がかえってきて正直びっくりした。


正直、この危険な状況で断られるかと思ってたから。


本当は二人っきりで過ごしたかったけれど、二村さんの目がどこで光ってるか分からない状態。


佐々木さんと緑川さんには悪いけれどいいカムフラージュだ。


『でもさぁ佐々木はともかく緑川は、二村が必死になってよりを戻そうとしたいと思ってるだろ?万が一緑川の家に押しかけたら』


「それも想定内です。ですので策を講じました」


『策?』


「とにかく緑川さんには何とかバレずにこちらに来てもらう予定ですのでご心配なく」と言うと啓は納得したのかしてないのか、喉の奥で『うーん』と唸っていた。


しかし『まぁ瑠華が言うなら問題ないかぁ』とすぐに考えを変えたよう。


信用されてるのか、頼りきられてるのか。まぁどちらにせよ緑川さんが無事にここに来られるよう緑川さんには伝えたから後は実行するのみ。


あたしは啓と通話を切った後、テーブルに乗せてあったクリスタル制のチェス盤に向かった。


そこにはやりかけのチェス盤が様々な場所で駒が乗っている。


あたしはホワイト……透明の馬の頭をかたどったナイトを手に取るとその隣の黒いルークを飛び越え、そっと黒いルークをチェス盤から外した。


キングを盤から引きずり落とすにはあと少し。


一人でするチェスはあまり楽しくないが、頭を使うにはちょうどいい。


向かい側で啓が顎に手を掛けながら悩む姿を想像すると、さらに楽しい。


あたしは黒のキングを二村さんに例えた。しかしいくらチェスを進めてもキングをチェス盤から引きずり落とすことはできず、ワインを飲みながら夜中まで一人チェスをして、ほろ酔い加減でベッドに入った。


明日(正確には今日)は楽しい一日になりそう。そう考えると自然笑みがこぼれた。


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