Fahrenheit Ⅳ

足りなかった情熱。


♠ K ♠


俺としたことが―――


完全に寝坊した!


というものの、昨日瑠華に元旦にパーティーしようと誘われて、手ぶらでいくのもなんだから慌てて真夜中に料理を始めたわけだ。


セントラル紡績さんの菅井さんが以前、クリスマス用に、というターキーレッグをいくつかもらったが、それはすぐに食べられず冷凍にしておいて助かった。


てか菅井さんも律儀だよな~


そいやあの二人今年は互いの両家へ行くんだろうなー、あ~羨ましい。


なんて思いながらターキーを照り焼きにして、冷蔵庫の中身を覗くとライスペーパーとレタス、野菜室にはニンジンや玉ねぎ、冷凍庫には海老やイカなどの海鮮類が残っていたからそれぞれ解凍して生春巻きを作ることに決めた。


そう言えば、昨日珍しく親父からふぐのてっさが宅配便で送られてきてた。それも持っていくか。


瑠華の家にはポン酢はあるだろうが、紅葉おろしまではないだろうなー、それも用意していくか、とあれこれやっていたらあっという間に朝を迎えていた。


歯磨きをして髭をそって着替えをしても出かけるにはまだ少し時間が残っていた。あまり早く行き過ぎると張り切ってると思われるのもなー、少しだけ……そうだな15分だけでも仮眠取るか…と思ったのが間違いだった。


気付いたら一時間も寝てて焦った。


俺は作った料理を全て紙袋に詰め込み慌てて車に乗り込んだ。


瑠華のマンションに到着して慌ててロビーを通過しようとすると


「いらっしゃいませカンナ様」と…


出たな!ウチヤマ!


てか正月から仕事かよ、哀れウチヤマ……でもどことなくニヤリと笑われたのは気のせい?


は!そうか!緑川を迎えに行くためウチヤマは俺より先に瑠華と挨拶したんだな!


くっそ……ギリギリと歯ぎしりをしたい気分で


「ごめん!寝坊した!」と素直にインターホンモニターを押すと


『部屋を開けておくので入ってください』と相変わらず機械的な挨拶。機嫌は……悪いかどうか分かんねぇ。いっつもこんな感じだし。


「明けましておめでと~」と当たり前のように入っていくと、ちょうど瑠華は食前酒のシャンパンを用意しているときだった。


「明けましておめでとうございます」と瑠華は律儀に頭を下げたが佐々木は


「部長……何かすっごく慣れてません?まるでここに来たのが初めてじゃないみたい」と鋭い突っ込みが。


ギクギクゥ


「この人はいつもこんな感じじゃないですか」と瑠華が冷めた目で言うと、それが本当のような気がするよ。クスン…啓人くん悲しい。それとも瑠華、遅れてやっぱ機嫌悪くしてる?


「それもそうですね……」と佐々木は納得したのかしてないのか。


事情を知っている緑川はちょっと笑いを堪えている。


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