Fahrenheit Ⅳ


「え!柏木さんが!?」
「柏木補佐が!?」


佐々木と緑川の声が重なった。


瑠華はどこかで軌道修正したかったのだろう、そう言い出したに違いないが


「えー、アカウント名は?繋がりましょうよ~」と緑川。当然そうなるいきさつで~


「僕も投稿はしてないですけどやってます。教えてくださいアカウント名」


こ、これはマズイ展開では……?


何とか話題を変えたいが、いかん、変える話題が思いつかん!


「あ、アカウント名は”優里”で」


「…………」


佐々木が一瞬沈黙した。


「………え?」


そーだった。佐々木は優里なる人物が女性であると思って自分のこと好いていてくれてるって一瞬勘違いしてたっけね。


「”優里”さんて柏木さんだったんですか?」


「あ……はい…すみません。私ペット画像や花の画像、映画情報を見るのが好きで、そこで佐々木さんのアカウントを見つけて勝手にフォローをしてしまい申し訳ございませんでした」


「…いえ、でもそーでしたかぁ」と佐々木は嬉しそうな、それでいてちょっと残念そうな複雑な笑顔を作った。


「えー、葉月もしてますよー、何でフォローしてくれなかったんですかぁ」と緑川が頬を膨らませる。


すると瑠華は緑川に顔を寄せ、そっと何かを耳打ち。何を囁いたのかは分からないが緑川は「なるほど!」と頷き「分かりました」と首を縦に振った。


「な、何ですか?二人して内緒話して」と佐々木が唇を尖らせる。


「何も。単なる女子トークです」


俺も気になるが、それよりも瑠華が取り分けてくれたローストビーフを口に入れながら


「あーあ、あたしも佐々木さんみたいな人が相手だったらこんなに悩まなくて済んだのになぁ」と口を動かしながら僅かに眉間に皺を寄せる緑川にちょっとびっくりした。


シャンパンを飲んでいた佐々木が僅かに咳き込んだ。咳き込んだからか?それとも違う理由からかその顔が僅かに赤く染まっていた。


「な、なん…!」


「だってぇ、絶対浮気しなさそうじゃないですかか。束縛もなさそうだし、記念日はしっかり覚えててくれそうだし、あ、派手に記念日をお祝いしようってタイプじゃなくてもいいんですよ、覚えててくれてささやかだけど小さなケーキを食べるとか、何よりずっと葉月だけを大事にしてくれそうじゃないですかぁ」


まぁ確かに佐々木はそう言うタイプだろうな。こいつの一途には太鼓判を押せる。


「そう言えば佐々木さん付き合ってる人居るんですか?好きな人は?」と緑川がまたも聞き、佐々木はちらりと瑠華の方を見たが瑠華は俺の作ったターキーに手を伸ばしていて佐々木の視線に気づいていない様子。


ほっ


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