Fahrenheit Ⅳ

「や!僕なんて高嶺の華って言うか。一生手に伸びそうにない……」


サーモンを口に入れながらもごもごと佐々木は口の中で答える。


「それって芸能人とか?あ、地下アイドル的な?」


「そ、そんなんじゃありません」


とやり取りが繰り出されている中


「おいしい」と瑠華が俺が作ったターキーの手で握る部分にアルミホイルを巻いた場所を持ってかぶりついていたが、口元を押さえ目を開いていた。


瑠華に美味しいって言ってもらえて嬉しい。


「私もNYにいたときターキー焼きには何度もチャレンジしたんですけど、ここまでおいしくできませんでした」


「そんな、簡単だよ。たれに付け込んで後はオーブンで焼くだけだし」


よしよし、話が戻りつつある。


「NYではやっぱりクリスマスにチキン食べるんですか?」と緑川が瑠華の話に食いついた。


よし、これで完全に話が逸れた!


「まぁ食べますけど、知っての通り私は料理が下手なので買ってきたのを」


瑠華が小さくため息を吐く。


「そう言えばNYで柏木さんって一人暮らしだったんですか?ターキーを買ってくるって……もしかしてお相手が…」と佐々木があわあわと言った。


「………まぁ一緒に暮らしていた元カレは居ましたけど、破局しまして」


「ぇえ!そうなんですかぁ!」と食いついたのは緑川。


元カレじゃなくて元旦那だけどな、なんて言えやしない。しかも二人の間に子供が居るってことも。


「どんな人なんですか?やっぱ向こうの人だから背が高くて金髪で目が青くて」と緑川の妄想は膨らんでいく一方。


好きだよな、女子ってこうゆう話。


「背は……高かったですけど金髪でも目がブルーでもありませんでした。どちらかと言うとブラウン系の髪に目は緑系で」


とまともに答えている瑠華。


ん?金髪で目がブルーってジェイク・ダリスがそーだったんじゃ……


でも瑠華は否定したし、俺の考え過ぎだよな。


しかし瑠華もそんなの『忘れたいから話したくありません』で通せばいいのに。


「イケメンでしたかぁ?」と緑川がわくわく聞いていて、瑠華はここに来てちょっとうんざりしたように


「顔も思い出したくありません」と吐き捨てるように言った。


「そんなに酷い別れ方を?」と佐々木が聞いて


「ええ、そりゃもう」と瑠華は軽く肩を竦め「これ以上、前のことは語りたくありません。話題を変えましょう」と自ら話題を変えることを進言した。


その後はおせちや俺の持ってきた料理を食いながら、酒を呑みながら、


「まだ足りません?ピザでも取りましょうか」と瑠華が立ち上がった。おせち料理や俺の持ってきた料理はまだ残っていたが、皆少しずつ飽きてきた感はある。カウンターに置かれたノートPCでピザ屋でも調べるつもりなのか「はいはい!葉月も選びたいで~す」と女二人はカウンターに向かった。

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