Fahrenheit Ⅳ
何故―――こんなことを―――
自分でも自分の行動が分からない。
「啓……!」瑠華が俺の腕を引きはがそうと身をよじったが俺はそれを離さずさらに深く口づけをしていた。
瑠華のアップにした髪型の首元に手を入れ更に顔を引き寄せる。
「……ん!」
何回目かの口づけで瑠華に乱暴に胸を押され、俺はテーブルに背を打ち付けた。
ここで我に返った。
俺は―――何をしているんだろう。
自暴自棄、って言葉が正しいのか我に返るその瞬間瑠華が長いスカートの裾を両手で引き揚げこちらに向かってきた。
ビンタの一つも覚悟していたが、瑠華は俺の首に手を回し自ら口づけをしてきた。今度は俺が目を見開く番。
瑠華の唇はさらりと心地よくチョコよりも甘い香りが漂ってきた。それだけでとろけそうだ。
俺は瑠華の腰に手を回すと、唇が離れると今度は俺から口づけ。
二人して夢中で口づけを交わした。
まるで息継ぎを忘れるぐらい、激しく情熱的に。
キスをしたまま瑠華を試着室のカーテンが掛かっているフィッティングに押し入れると、、今度は瑠華が体を回しフィッティングの壁に俺を押し付け口づけを交わす。
口づけを交わしながら俺たちはあちこちに、あざにならない程度に体を押し付け合いながら上になったり下になったりで口づけを夢中で交わした。瑠華のドレスから覗いた肩甲骨を抱きしめると熱い熱が伝わってきたが、さらりと心地よい。
やがて瑠華の方から唇を離した。
二人とも肩で息をしていた。
それは軽いセックスよりも、濃厚なキス。クイックステップを全力で走る抜けるよりエネルギーを使った気がした。
「……ふ」瑠華がちょっと笑って口元を押さえた。
俺もちょっと笑った。
「あたしたちが抜けていた部分、こういうことだったのかもしれませんね」
そう、それはPassionそのもの。
気持が―――通じてなかったから、俺たちのダンスはイマイチだったんだ。
キス一つでここまで心が繋がるなんて―――初めてのことだった。