Fahrenheit Ⅳ

歌姫の曲は不幸なのか幸福なのか。


♥Ruka♥


20XX年 1月 4日 水曜日


その日の午前中は晴天だった。初詣をこなすにはうってつけの。


あたしと葵さんはそれぞれ待ち合わせて、芝公園の増上寺に来ていた。


あたしの住んでいる場所から増上寺はそれ程離れてないのに、来るのははじめて。増上寺は、勝運のご利益を求めて多くの参拝客が訪れる人気スポットで有名みたい。東京タワーのふもとに位置していて、ライトアップされた東京タワーと本堂を一緒に撮影できるフォトジェニックな場所としても有名、と書かれていた。


お寺はまだお正月気分が抜けていないのか、参拝客は多かった。御本堂に行く前、境内にはタコ焼きや焼きそば、りんご飴やイカ焼き、おしるこやじゃがバターなどの出店を連ねていてあちこちから食べ物の匂いが溢れかえっていた。


「タコ焼きある、タコ焼き!」と葵さんがはしゃいだ声を上げて出店に走って行こうとしたが、あたしはそれを止めた。


「まずは参拝が先です」


「へぇ、意外。瑠華ちゃんて意外と心神深いんだね」


「神頼み、など信じていませんがやはり目の前に仏様がいらっしゃるのに失礼じゃないですか」


「そういうもん?」と葵さんはきょとん。


「そうです」とキッパリと言い切ると、葵さんは渋々と言った感じでついてきた。お手水場で手を洗い、ハンカチで手を拭いていると隣で同じように手を洗い終わった葵さんは手をぶんぶん振って水を切り、それをジーンズで拭こうとしていた。見ようによっちゃワイルドとも取れる行為だけど、ここは仏様が祀ってある信仰深い寺だ。

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