Fahrenheit Ⅳ
お互い参拝が終わり
「何をそんなに熱心にお願いを?」と聞くと
「な・い・しょ」と葵さんはちょっと舌を出した。「瑠華ちゃんこそ何を願ったのさ~」
「内緒です」
「俺が教えたら、教えてくれる?」
「いいえ、教えません」
「えー、ひっでー」
とやり取りをしながらあたしたちは屋台が連なる縁日の場まできていた。
「瑠華ちゃん、何食べたい?」と聞かれ、少し悩んだのち
「たい焼きのしっぽ」と答えていた。
「何それ。たい焼きは頭の方が餡がつまってておいしいじゃん」
「あんこはそれほど好きじゃありません。ですがしっぽ部分は好きです」
「じゃぁしっぽは瑠華ちゃんにあげるから、後は俺が食う」と葵さんは屈託なく笑う。
正直、それほどお腹はすいていない。適当に答えただけだけど葵さんはそれを真に受けて屋台が連なる縁日へと走っていった。
本当に子どものようだ。
それからほどなくして葵さんは戻ってきた。
両手にたい焼きとおしるこ?のようなものが入ったカップを持って。
「なんかおしるこの屋台に列ができててうまそうだったから」
あっそ
葵さんは熱そうにふぅふぅと息を吹きかけながらおしるこのカップに口を付ける。
あたしは手渡されたたい焼きのしっぽの部分をちぎってそれを口にいれるとそれは思った以上にクオリティが高くふわふわもちもちと美味しかった。
「ん、美味しい」と思わず笑みがこぼれるとおしるこカップに口をつけていた葵さんがこちらを見て
「瑠華ちゃん今笑った?」と目をぱちぱち。
笑った―――?自覚はあまりなかったけれど確かに笑ったのかも。