Fahrenheit Ⅳ

それからあたしたちは定番のりんご飴や綿菓子、甘酒を飲んでお腹もそろそろふくれてきたところで何となく解散を言い出すと


「えー!ホントに初詣だけ?」と葵さんは不服そうにしていた。


勿論そのつもりだが


「ねぇねぇ瑠華ちゃんは三が日どう過ごしてた?」とブルゾンのポケットに手を突っ込みこちらを覗き込んできた葵さんに


「一日目は会社の同僚たちとおせちパーティーを、二日目は家でのんびり、三日目は新年会の練習に。因みに新年会は明日です」


って何真面目に答えているのだろう。


そう言えばマックスから新年の連絡が来てない。あいつのことだから何かと理由をつけて会いたがろうとするだろうが、何を考えているのだろう。連絡がなければなくてスッキリする。でも今はあいつの傍にユーリが居る。


会いたい。


ユーリ。


せめて新年の挨拶だけでもしたかったけれど、それともこれがマックスの嫌がらせ?


あいつも大概何を考えてるのか分からない。


「新年会?瑠華ちゃん何か出し物するの?」


葵さんに聞かれてふと我に返った。


「ええ、運悪くくじを引いてしまって。大して取り柄もないのでダンスを少々」とまたも真面目に答えていた。


「ダンス?レディ・ガガみたいな?」


「まさか。社交ダンスですよ」


「社交ダンスかぁ、瑠華ちゃん何か慣れてそうだね。てか社交ダンスって言うと相手がいるんだよね当然」


当たり前だ。


「いいなー、瑠華ちゃんと踊れる男」


「社交ダンスを甘く見ない方がいいですよ。あれは一種のスポーツです。まぁNYにいたときにはそれなりに踊る場面もありましたが」


意味のない会話を繰り出し、それでも葵さんはあたしの過去に興味津々のようだ。
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