Fahrenheit Ⅳ

20xx年 1月 5日 木曜日


この日から仕事はじめであり、新年会でもある。


今日ばかりは本社社員は職場に行かず、全員私服姿でマルーナホテルに集まった。その数ざっと見て100人以上に見える。あちこちに点々とする支社からは代表者と思われる人が参加していたが本社社員はほぼ全員参加だ。


大きな披露宴会場にはたくさんの食べ物が左右に並んだビュッフェ形式の料理が並んでいて、アルコール類も提供されるみたい。丸いテーブルがあちこちに配置されていて取ってきた食事や飲み物はそこで食べたり飲んだりするようだ。


問題の披露宴会場のメインとなる十字の壇上にはまだ水は張りめぐらされていない。


「あ、柏木さ~ん、明けましておめでと~」と綾子さんがこれはきれいなワインレッド色のカクテルドレスを少しカジュアルにした感じのワンピース姿で手を振っていて


「明けましておめでとうございます。綾子さんきれいですね」と言うと


「ホント?張り切り過ぎたかな~って思ったけれど私会長にマイク手渡したり進行役任されてるから」


ああ、なるほど。


あたしと綾子さんが喋っているのを見つけ出したのか、淡いピンクのワンピースに身を包んだ瑞野さんが近づいてきた。


「柏木補佐、木下リーダー、明けましておめでとうございます」と頭を下げに来た。


「明けましておめでとう~」と綾子さんはフランクに答えたがあたしは機械的に「明けましておめでとうございます」と捉えようによっちゃそっけなく答えたが瑞野さんは気にしていない様子だった。瑞野さんは今日はそれ程体調が悪くなさそうで顔色も良さそう。


「皆さん、明けましておめでと~」と二村さんが走り寄ってきて、あたしは今度ばかりは頭を下げるだけにした。


瑞野さんはそれに何も答えず二村さんが来たことによって、少しうんざりした何かを見る感じですぐその場を離れた。


その後ろ姿を名残惜し気に二村さんが目で追っている。

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