Fahrenheit Ⅳ

菅井さんと別れて俺は青山にある有名スイーツ店でちょっと高価なプリンを部署の人数分買っていった。人気のスイーツ店で結構並んだが、プリンはGETだぜ。


俺が戻ると、すでに全員席に着いていてそれぞれ作業をしていた。


「ただいま~、帰りに青山でうまそうなスイーツ店見つけてプリン買ってきた~差し入れ」となるべく恩着せがましくない程度に言いデスクの上にそれを置くと


「わぁ!ここ人気の店ですぐにプリン売り切れちゃうんですよ。なかなか手に入らないって噂があったのに、よく買えましたね」と佐々木がいち早く食いついた。並んだ割には人気のプリンがまだ売れ残ってたのは奇跡だってことだな。それぐらいの奇跡で瑠華の気持ちも分かればいいのに……


種類はイチゴとマンゴーとピスタチオ、プレーンと言う四種だ。


「柏木さん何食べます?」


買ってきたのは俺なのに、早速プリンを取り出し佐々木が何故か瑠華に聞いていて


「私は残ったものでいいです」と瑠華がそっけなく答えている。


菅井さんは食べ物で吊るのがいい、と言ったけれど瑠華に通じないみたい。


「佐々木さんは?」と瑞野さんが佐々木に聞いていて「僕ですか?僕はじゃぁピスタチオ味が」と言ってプリンを取り出す。


「じゃぁあたしはいちごもらちゃっていいですか?」と瑞野さんがイチゴ味を取り出し俺は頷いた。見るからに女の子っぽい瑞野さんは選ぶのも女の子だ。残るはマンゴーとプレーン。


「か、柏木さんは?」恐る恐る、と言った感じで聞くと


「残ったものでいいです。部長お先にどうぞ」とまたもそっけない返事に眉が下がるのが分かった。


結局、当たり障りのないプレーン味を取って、瑠華にはマンゴー味を残した。


たった一つ残ったプリンに瑠華は最初手をつけようとしなかった。


「このままじゃ傷んじゃいますね、あたし冷蔵庫入れておきます」と瑞野さんがプリンを持っていこうとしたが


「待ってください」と瑠華が立ち上がり、残ったマンゴープリンにマジックで”外資 柏木”とプリンのプラカップに書き込んでいて、食べてくれる気はあるんだ、とちょっとばかり嬉しくなった。

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