財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「俺が『庶民、庶民』って言ってたのが気に入らなかったお前は、『人をお金で判断して何が楽しいの? 片桐くんの方が、よっぽど心が貧しいよ』と言ったんだ。……覚えてないか?」
「あっ……そんなこと、言ったような覚えがある。……ごめんなさい」

 シュンと肩を落とす李茉。自分が言った言葉に後悔しているのか、反省している子犬みたいだ。

「いや、謝らなくいい。むしろ、俺の方がすまなかった。李茉に会うまでは、周りにいる奴らも俺と同じような育ちの奴らばっかりだったし、それまで誰かに指摘されることもなかったから……。すごく新鮮だったし、ここにガツンと来たのは事実だな」

 そう言いながら、俺は拳をつくって自分の胸に親指を当てた。

「元々他人に干渉するタイプじゃないし、何でもそつなくこなしてたから、友人と言っても一定の距離感があった。だけど、お前は違った。俺に正面からズバッと何でも言ってきたし、煽てることは一度もしなかったしな」
「っ……」
「だから、高校時代は気になる存在というくらいだったんだが、卒業して時を重ねても、ずっと心の奥底にお前がいて……。再会して、気づいたんだ。……ずっと心に引っかかっていた感情は、俺にはない価値観を持っているお前が輝いて見えて……それが〝恋〟なんだと」
「っっ~……」

 両手で口元を覆う李茉は、ぎゅっと目を瞑った。
 だけど、表情から読み取れる。……俺の告白が嬉しいのだと。

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