財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
***

 惺也くんは言いたいことだけ言ってパッと私の手を離し、まるで何事もなかったかのようにベッドへ潜り込んでしまった。
 しかも、照明まで落として……もう完全に寝る体勢に入ってる……‼
 え、……言い逃げ……!?

 私は好きな人に『好きなのは李茉だけだ』と言われて、きゅんきゅんしてドキドキが止まらないのに……!
 さっきまであんなに熱い眼差しを向けてくれていたのは、なんだったんだろう。

 あっ……そうか! 明日は、朝早くから仕事なのかもしれない。
 海外との取引も多いみたいだし、時差の関係で早朝に打ち合わせがあってもおかしくないしね。
 でも……。
 やっと両想いだとわかったのに、次にいつ本音を打ち明けられる機会があるか、わからない。
 私に恋愛経験なんてほとんどないもの。今のこの時を逃したら、きっとまた心に溜め込んで言えなくなってしまいそう。
 
 ……どうしたらいいの? こういう時って、どうやったら気持ちが伝わるんだろう……?
 焦る脳内で必死に考えを巡らせる。そして、たった一つの答えを導き出した。

 私は勇気を振り絞って、惺也くんが寝ているベッドに静かに潜り込む。
 今まで何度も彼の腕の中で眠りに就いたはずなのに、今夜が初めてなんじゃないかと思えるくらい緊張している。
 ……大丈夫、しっかりして。
 何度も自分自身にエールを送り、私は彼の背中にぴとっと張りつくように寄り添った。
 その瞬間、惺也くんの体がびくっと震えた。

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