財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「……惺也くん」

 小さい声で呼ぶと、「……ん?」と声だけ返ってきた。

「言い逃げなんて……狡いよ」
「……は?」
「自分は言いたいことを言いたいだけ言って、さっさと寝るなんて……。私の気持ちはどうでもいいの……?」
「っ……」

 惺也くんが息を呑むのがわかった。

「私のこと……好きだって言ってくれて嬉しかった。嫉妬してくれたのも嬉しかったし、私だけじゃなくて、私の家族のことも大事に思ってくれて、胸が震えるくらい嬉しかった」
「……ん」
「だから、私にも言わせてよ……。惺也くんのことをどれくらい思ってるか……」

 私の言葉に、惺也くんが勢いよく振り返る。
 常夜灯の明かりが、彼の顔を優しく浮かび上がらせる。

「ごめっ……いや、一応確認するんだけど……。それって俺のこと……好きだってこと?」

 その声音は、寝ぼけて言っているのではないのだとわかる。だってどこか不器用で、なのに真剣で……。
 今日初めて見た〝取り乱した時の彼〟と重なって見える。
 私はそっと彼の胸におでこを預けた。パジャマ越しに彼の体温が伝わってくる。

「……そうだと言ったら、どうするの?」

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