財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 自室へと戻った俺は、室内を見回した。
 デスクの上には、デスクトップとノート型のパソコンの二台が置かれていて、出張の際にはノート型を持ち歩く。
 常に情報が共有できるようになっているが、個人ファイルが保存されているのはノート型のパソコンのみ。

 使用する時だけ起動しているような端末なのに、なぜ特定できたのだろうか?

 ふと視線の先に、先月取り換えられたばかりのブラインドが目に留まった。
『ブラインドの調整部分が故障している』と、清掃員から報告を受けたらしいが……。

 俺はブラインドがかかっている窓へと歩み寄り、上から下へと隈なく目を凝らして確認すると、ちょうど目の高さくらいの部分に、小さな超小型カメラが設置してあるのに気づいた。

「……フッ、古い手を使いやがって」

 俺はすぐさま及川をスマホで呼び出し、社長室と秘書室、それに専務室に至るまで盗聴器や監視カメラがないか、確認させた。
 幸いにも、盗聴器は仕掛けられておらず、ブラインドに施された超小型カメラ一台のみだった。

 俺はすぐさま及川に、被害届を出すように命じた。

 ――内部に手引きした者がいる。

 腹の底から沸々と浮かび上がる怒りの感情。
 幼い頃から、常に敵に囲まれていると思っていたが、遂に……俺に牙を剥いた者が現れたか、そう思った。
 その時、扉をノックする音が三回した。
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