財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 執事に書斎へと通され、ドアの前で一呼吸し、ドアをノックした。

「惺也です」
「入れ」

 ドアの向こうから濁った太い声が聞こえてきた。
 書斎の中に足を踏み入れると、鼻につくような葉巻の匂いが充満していた。

「相変わらず、葉巻ですか」
「……男の嗜みだ」
「体を害しますので、ほどほどに」
「煩い、黙れ。……そんなことより、一体いつになったら収拾がつくんだ。いい加減、どうにかしろ。お前の会社だけならまだしも、グループ全体の株価まで落ちて、役員たちから毎日のように小言を言われる俺の身にもなれ」

 片桐グループは多くの関連企業から成り立っている。その中には、片桐の後継者の座を狙う者も多く、幼い頃から常に俺はその者らと競い合ってきた。

「今、事態を収拾すべく、動いています」

 父親と向かい合う形でソファに腰を下ろす。
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