財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「町工場の娘を選ぶから、こうなるんだ。俺の言うとおりに、宝生の娘と結婚してれば、こんなことにはならずに済んだものを」
「言ったはずです! 俺は、自分が決めた相手と結婚すると。でなければ、結婚などする意味がない」

 俺は父の言い分を即座に訂正した。
 父は金のことしか頭にない。俺もそれが当たり前だと思っていた。
 金は使ってこそ意味があるし、その使い方次第で、世界をも動かせるのだと。
 俺が拝金主義者になったのも、父親の影響を受けている。
 だが、李茉と出会ったことで、父とは違う金の使い方を覚えた。

「宝生の娘との再婚も含めて、宝生インダストリーの救済案を受け入れろ」

 威圧感のある声が室内に響く。

「片桐グループを継ぎたいなら、今は黙って俺の言うことを聞け」
「っ……」
「ほとぼりが冷めたら、後継者の座をお前にくれてやる」

 反論の言葉も許さないほど、鋭い視線を向けてくる。

「事態が収拾できなければ、後継者の座は渡さん、……いいな?」
「……わかりました」

 父の言葉は、財閥の長老としての圧力そのものだった。
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