財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 片桐くんは、父の会社の借金を帳消しにする代わりに、契約結婚を持ちかけてきた。
 私が結婚相手に求めるのは──私を愛してくれて、私が愛せる男性。

 だけど、彼は愛よりも利益を優先する最低な人。
 でも──『俺はただ──お前を守りたいだけだ』と言った時の瞳は、嘘をついているようには見えなかった。

 好きになれるかどうか。
 彼と結婚して幸せになれるかどうか。
 愛のない結婚だとしても、ちゃんと見極めないと……!

 ハンカチやお財布など、忘れ物がないか確認していると、【家の前に着いた】という彼からのメールが届いた。
 一瞬で、鼓動が早まる。

「同級生と、デートをするだけ……」
 
 気負わなくても大丈夫、と自分に言い聞かせて玄関を出た。
 すると、黒塗りのロングストレッチのリムジンが、家の前にどーんと停車していた。

「……えっ……」

 な、何これ……!?
 いつもの高級セダンでも十分すぎるほど威圧感があったのに、今日は──リムジン……!?
 いやいやいやいや、勘弁してよっ‼
 玄関先で硬直していると、及川さんが後部座席のドアを開け、その奥から片桐くんが降りてきた。
 土曜日だけど、これも秘書の仕事なの……? そんな疑問が浮かんだが、知ったところで気を揉むだけだと思い、口を閉ざすことにした。
< 22 / 120 >

この作品をシェア

pagetop