財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
 ほどなくして、機体がふわりと地面を離れた瞬間、足元の重さがすっと消えていく。
 視界が滲み始め、恐怖で涙が零れそうになる。
 必死に〝大丈夫、大丈夫〟と心の中で何度も唱え、両手をぎゅっと握りしめた。

 そのままヘリは、真上へと持ち上げられるように上昇していく。
 高度が上がるにつれて、胃の奥がむかっと波打ち、呼吸が浅くなり始めた。
 胸がきゅうっと締めつけられて、空気がうまく入ってこない。

 手足がカタカタと震え、膝に力が入らない。
 なのに、景色だけは容赦なく広がっていく。
 小高い山を越えた、その刹那──眼下に、夜の街が一面に煌き始めた。

 絵葉書や写真集で見るならいいけど……やだ、ホントに高すぎるよ……。
 窓の外を見るふりをして、目をぎゅっと閉じる。

 お願いだから……早く終わって~~‼

 悲鳴のような声にならない発狂が、胸の中で響き続けた。
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