財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「李茉さんからお聞きになったと思いますが、九石精工さんの負債額約五億円を投資という形で、すでに対応させていただきました」
「えっ⁉ もうお支払いになられたんですか!?」

 両親の目が大きく見開かれる。
 片桐くんは鞄から書類とタブレットを取り出し、テーブルに広げた。

 画面には、海外の金融機関からの【振込受付完了通知】が表示されている。
 すでに五億円の送金手続きが完了済みだという証だ。

「会社の口座には月曜日に送金されますので、ご確認いただければと思います。それから、今後の事業計画書を作成して参りました。これまでの経営の仕方ですと、またいつ資金繰りが滞るかもわかりませんので、不服かもしれませんが、再建フォローという形で当面の間、当社が手を入れさせていただきます」
「それはどういう……?」
「会社の経営云々というより、持っている技術をどう活かすか。方向性を今とは違う路線に向けてはどうかという、ご提案です」

 父は、片桐くんが差し出した書類に目を通し始める。

「……こんなことが可能なのかね?」
「はい、十分可能だと思います。私にお任せいただければ」

 父の鋭い目つきが次第に変わり、嬉しそうな表情を見せ始めた。
 彼の提案する事業計画書は魅力的。従業員の生活が潤うなら、契約結婚も……ありなのかもしれない。

「……ここまで、していただく理由は……?」
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