銀河の雫
……そうだ、このむんとした臭いの正体は、鳩だ。

隣の住民が無断で飼っていた鳩の不衛生な臭い。

それがマンションの薄暗い通路に立ち込めていた。

その臭いとともに、毎度とぼけた顔で嘘をつく表情が、嫌でも脳裏に蘇ってくる。




むこうが家賃を支払い、光熱費や食費は私。

お互いに納得して決めたルールのはずだった。

ちゃんと支払ってるよ、と言われ続けた。

そのたびに、それは本当なんだと自分に言い聞かせた。



ある日突然、電話があった。

「これから家に管理会社の人が行くから。実は家賃、払ってなかったんだよね……半年分」

直後、チャイムが鳴り、私は泣きながらドアを開けた……







そんな苦い思い出が鮮明に蘇っていた。

< 14 / 163 >

この作品をシェア

pagetop