銀河の雫

エピローグ 銀河の雫

「二年間ご苦労様でした。今後のことは任せてください」

「あぁ、これからのこと、よろしく」

見送りに来てくれた、後輩の肩に手を軽く置く。


スーツケースを引きながら手を振った。

そのとき、スマホが震えた。

「これから搭乗するとこ。新婚旅行、どこに行きたいか考えた?」

「……そうだな、じゃあスペインなんてどう?」

「覚えてるに決まってんじゃん……バカだな、泣くなよ」



「けど、新婚旅行なんて、きっと、まだ先の話だよな」

「うん、明日の今頃はもう、会えてるから」




「……愛してるよ」





飛行機はゆっくりと滑走路を走り出す。

徐々にスピードを上げ、勢いよく空へ飛び出した。




「わーもう飽きたぁ、おばぁちゃん家まだぁ。おうちに帰りたい」

「……すみません、うるさくて。ご迷惑おかけします」

「いえ、……里帰りですか?」

「はい、まだ向こうの親に孫の顔を見せてなかったので」

「そうですか、きっとお喜びになりますね」

女性は笑顔で軽くうなずいた。


「……うちも二人目、もうすぐなんです」

「まぁ、おめでとうございます」




飛行機の窓から外を眺める。



ゆっくりと機体が傾き旋回した。

深い藍色の空を星々が埋め尽くしている。

まるで銀河の中を飛んでいるみたいだ。

彼女にもこの景色を見せたい。







そっと目を瞑った。







一緒に見た銀河が、目の前に広がった。


白い息を吐きながら、ふたりでカシオペアを探した少年の日。


彼女を返したくなくて誘った舟上で見上げた、無数の星々。


再び出会って一緒に見上げた、プラネタリウムの銀河も。





彼女にプロポーズした病院の屋上も。



きらり、と、目の前を何か横切った気がした。



あれは……きっと、銀河の雫。



これからもふたりで。



いや、これからは家族みんなで銀河を見上げよう。









目を閉じたまま、これから始まろうとしている未来に思いを馳せていた。










(終わり)







──この物語をふたりのK.Mに捧ぐ






最後までお読みいただきありがとうございました。







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