銀河の雫
「こちらこそ、いろいろご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」

「斎藤さんは、こちらのローンセンターは長いんですか?」

「いやいや僕は半年前に来たばかりで」

「そうなんですね。……こちらのセンターの前はどちらに?」

「僕は秋田支店にいたんです。……月浦さんは、ずっと仙台?」

「いえ、私、出身は岩手なんです」

「へぇ、岩手」

「はい、岩手県の南部。一関市です」

「一関……あれ? 日向課長、じゃなくて、所長も一関じゃなかった?」

「ん? 呼んだ?」

所長が立ち上がって、こちらを見ている。

「月浦さん、一関の出身なんですって。課長……所長も一関じゃなかったですか?」

「あぁ……そう、一関だよ」

「そうなんですか? すごい偶然。私と同郷なんですね」

「……」

えっ、無視?

こういうとき……普通、同郷だって知ったら地元ネタで盛り上がったりするもんじゃないの?

やっぱり仕事の覚えが悪いことを怒ってるのかな。

それとも私の悪口で気を悪くしてる?


……もしかして、これが噂で聞いたパワハラの前兆?

「青山さん、分かりましたので、その通り進めてください」

所長は、書類に目を落とした。

「はい、分かりました……あの……」

青山さんは、何かまた言いかけた。

「佐々木課長、あの資料ってどこのフォルダに入ってる?」

それを遮るように所長は立ち上がり、隣の島に歩いて行ってしまった。


……全然話しかけられない。

なんだかタイミングを見計らうのって、難しいな。


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